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臨床心理士Q&A

医師や看護師など病院で働いている人のほとんどの職種が国家資格になっているのに対し、現時点では、臨床心理士は、日本臨床心理士資格認定協会の民間の資格です。

 

医療現場では、臨床心理士の必要性を感じながらも、導入の位置づけの難しさが、課題になっています。

 

まだまだ、臨床心理士が配置されている医療現場は、ほんの一部にすぎません。

 

そのような中で、緩和病棟などでは、臨床心理士の配置が増えつつあります。

 

医師は、治療の方法などを提示して進めていきますが、臨床心理士の職種は、指示をするのではなく患者さんがどの方向に向かって行きたいのかを自分自身で見つけるための援助をして行きます。

 

緩和病棟の患者さんに「どんなことでも相談してください」と、問いかけても、気持ちが混乱している状態で、何が悩みで何を相談したらいいのかさえ考えることは難しいことです。

 

その患者さんの性格や現在の病状の進行ぐあいによっても、アプローチの仕方は、変えていかなければなりません。

 

「どうしたらいいのかわからないという気持ちを、少しづつでも整理するお手伝いができれば」という姿勢を持ち、指示や指導をするのではなく、徐々に本人の考えがまとまっていくようなお手伝いをし、あくまでも患者さんが主役の会話をすることができるような臨床心理士であることが大切です。 

PTSDと臨床心理士

天災や事故、犯罪などが起きた時には、医療や保健チームのほかに、臨床心理士が派遣されることがあります。

 

PTSDという言葉を聞いたことがあるでしょうか?

 

PTSD(心的外傷後ストレス障害)は、強烈なショック体験をすると、心の傷となりその後時間がたってから、さまざまな症状がでます。

 

不安を伴う症状は誰もが、つらい体験をすると出るものですが、数週間、数ヶ月たってから、自分でも原因不明だったりする、頭痛が起こったり、不眠で悩まされたり、人により症状は異なります。

 

ふとしたときに、つらい体験がよみがえったり、苦痛や無気力などさまざまな感情が入り混じり、自分でコントロールができなくなったりします。

 

日常生活で、つらい体験を思い出す機会を避けるために、行動が制限されてしまい、通常の活動ができなくなってしまったりします。

 

精神科医や、臨床心理士などの専門の機関に相談をし、適切な治療が必要です。

 

つらい症状が続くのであれば、自分ひとりでなんとかしようとせず、無理をしないで、臨床心理士などの心理療法を学んでいるプロに相談し、社会生活が送れるように戻していきましょう。

 

臨床心理士などの心の問題の専門家は、さまざまな心理的アプローチから心の傷を回復させる手助けをし
てくれます。

臨床心理士とストレス社会

日々社会情勢が変化する中、子どもから高齢者まで、常にストレスにさらされています。

 

臨床心理士の役割は、今後ますます必要になってくるでしょう。

 

ストレスの正体って何でしょう?

 

もともとは、圧力を表す工学の用語でした。

 

カナダの生理学者が、外部から人に与える刺激により、引き起こる心やからだの歪んだ状態を、ストレス反応と命名したと言われています。

 

ストレスの種類もさまざまあり

 

・生理的ストレスは、病気、けが、睡眠不足、飢え、過労など

 

・物理的ストレスは、騒音、悪臭、寒さや暑さなど

 

・心理的、社会的ストレスは、人間関係から生じる緊張、不安、葛藤、不満、怒り、恐れなど

 

ストレスがかかると、その防御反応が起き、不眠やイライラ感、疲れやすくなったり、頭痛や腹痛などからだにさまざまな異常が起こります。

 

ある程度のストレスは、次の行動を起こすための原動力となるので必要なことでもありますが、自分では処理しきれない過度なストレスは、胃潰瘍を起こしてしまったり、過食や拒食をするようになってしまったりすると、問題です。

 

症状が、悪化してしまう前に、病院や臨床心理士によるカウンセリングを受けるなど、生活を見直すことが必要です。

臨床心理士とストレスサイン

日々の生活が忙しくて、体調がすぐれなかったり、過食をしてしまったりしていませんか?

 

ストレスは自分で感じてうまく定期的に解消できているうちは問題はなく、むしろ適度なストレスがある状態のほうが、元気に次のステップに行くためのエネルギー源に変換される場合もあります。

 

しかし、自分がストレスにさらされていると感じないままに忙しく生活してしまい、体調を崩してしまったり、ある日突然、学校や職場に行くことができなくなってしまったりすることがあります。

 

症状がひどくなる前に、臨床心理士のカウンセリングを受けたりして、自分自身を見つめ直すことも必要です。

 

臨床心理士は、さまざまな心理療法の技法を学んでいますので、その人に合ったアプローチの仕方で、悩んでいる原因を援助をしてくれます。

 

ストレスサインには、

 

・人と話をすることが減ってきた
・物思いにふける時間が多くなった
・融通がきかなくなったように感じる
・我慢が前よりできなくなった
・怒りやすくなってしまった
・すぐ口論になってしまう
・過食をしてしまう
・時間ばかり気になる
・ボーっとしてしまうことが増えた
・無理な要求を相手に言ってしまう
・まじめ過ぎでこだわりが強い気がする
・最近体調を崩しやすくなった

 

などさまざまありますが、食事や睡眠をしっかりとり、趣味などでうまくストレス発散をするよう心がけ、悪化する前に、臨床心理士などによるカウンセリングを受け、健康な生活を取り戻すようにしましょう。

臨床心理士と拒食・過食

食べたくもないのに、食べなければいられないとか、食べなきゃいけないのはわかっているのに、どうしても食べられない状態に悩まされている人は、増加しています。

 

最初は、軽い気持ちではじめたダイエットがいつの間にか、体重の増減にだけこだわるようになり、栄養のことやからだの不調に目が向かなくなり、いつのまにか、普通の食事を受けつけなくなり拒食症になってしまい、命にかかわるまで痩せてしまう人もいます。

 

日常のストレスを忘れるために、暴飲暴食をくり返し、食欲を抑えることができず多量の食品を食べて過食症になってしまい、食後は太ってしまうことが怖くなり自己嫌悪で食べたものをすべて吐いてしまうサイクルを繰り返してしまう人もいます。

 

このような摂食障害は、自分ひとりの力では、抜け出すことは難しく、専門医や臨床心理士の心のケアが必要です。

 

摂食障害は、食べ物を食べるようにするとか、食事制限をするとか、表面上の対策をしても改善されるものではありません。

 

子どもの頃から抱えているトラウマがある場合や、現在自分では、処理しきれないほどのストレスを抱え続けているとか、さまざまな深層心理の要因が関係しています。

 

自分を責め過ぎず、誰かに助けを求める話をしてください。

 

身近に話ができるような人がいない場合は、臨床心理士などの心のケアのプロの力を借りることも必要です。

臨床心理士によるケアセンター

事件や災害が起こると臨床心理士が現地にむかい、心のケアを行います。

 

東日本大震災後、日本臨床心理士会「東日本大震災心理支援センター」が開設されました。

 

活動内容は、被災者の支援活動だけでなく、ボランティア・支援者の心理支援、研修、なども行っています。

 

災害などが起こると、今までの穏やかな街の生活の中に、援助をしてくれる、医療、福祉、ボランティア、などさまざまな業種の人々がいっきに街にあふれます。

 

やらなければいけないことやスムーズに進まない状況など、ストレス状態にさらされ混乱が続きます。

 

そのような中で、立ち止まって、話をゆっくりできる場はとても重要です。

 

被災地などでは、日々刻々と環境が変わり、からだはもちろん、心がその変化についていくことが難しくなってきます。

 

臨床心理士は、子どもから高齢者にまで対応するだけでなく、まわりの援助する側の人々にも目を向け、いままでの日常の流れではなくなってしまった生活の変化を調整ケアする能力が必要とされます。

 

単に面接の技法などを学ぶだけでなく、個人だけをアセスメントするだけでなく、まわりの家族や地域全体を観察、調整する技術が必要とされる職業です。

臨床心理士のスクールカウンセラー

近年、子どもたちを取り巻く環境もめまぐるしく変化し、不登校、いじめ、発達障害など、児童・生徒やその家族の抱える問題も複雑化してきています。

 

平成7年から、文部科学省は、スクールカウンセラーを臨床心理士を中心に全国の中学校を拠点に、配置するようになりました。

 

現時点で、学校側からも臨床心理士側からも体制が充分とはいえず、スクールカウンセラーの8割が臨床心理士ですが、非常勤職員であるということと、週に1回程度で4時間から8時間の相談室の開設というような状況がほとんどです。

 

相談室の曜日や時間が限られているため、児童・生徒や保護者がいつでも相談できるというわけではないので、まだまだたくさんの課題もあります。

 

利点としては、文部科学省が経費補助を行っているので、外部に相談に行かなくても学校で無料で相談をすることができます。

 

また、スクールカウンセラーは学校とは外部の機関としての位置付けなので、児童・生徒や保護者は学校での人間関係の悩みなども話しやすい体制になっています。

 

スクールカウンセラーは、都道府県の要請により、地震などの災害や事故が起きたときには、緊急派遣され、現場で直接相談支援をすることができます。

 

今後、さまざまな課題をクリアし、子どもたちのために、充実した相談体制が求められています。スクールカウンセラーになりたい人はこちらのスクールカウンセラーになるにはを参考にしてみると良いと思います。

 

 

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